建築家・安藤忠雄の軌跡と展望に迫る『国立新美術館開館10周年 安藤忠雄展―挑戦―』
東京・国立新美術館で開催中の『国立新美術館開館10周年 安藤忠雄展ー挑戦ー』。世界で活躍する建築家・安藤忠雄の半世紀に及ぶキャリアの集大成が本展覧会で見ることができます。
- 2017.10.8
- アート・カルチャー
安藤建築の“これまで”と“これから”を知る
元プロボクサー、独学で建築を学ぶという異色の経歴で知られている建築家・安藤忠雄。1969年より「都市ゲリラ」という建築設計活動をスタートして以来、常に既成概念を打ち破るような作品を生み出しています。1970年代には個人住宅などの小規模建築、1980年代には商業施設、寺院・教会などの中小規模の建築の設計を手掛けてきました。1990年代以降は活躍の舞台を世界に広げる一方で、環境再生や震災復興といった社会活動にも取り組んでいます。
『国立新美術館開館10周年 安藤忠雄展ー挑戦ー』では、安藤忠雄の壮大な挑戦の軌跡と未来への展望を、6つのセクションに分けて紹介しています。スケッチ、ドローイング、模型、写真、映像、そして実物大に再現された建築物など、総計270点余りの資料を展示。設計のプロセスを分かりやすく伝えてくれているだけでなく、歩んできた道程を追体験できる工夫がされています。
『国立新美術館開館10周年 安藤忠雄展ー挑戦ー』では、安藤忠雄の壮大な挑戦の軌跡と未来への展望を、6つのセクションに分けて紹介しています。スケッチ、ドローイング、模型、写真、映像、そして実物大に再現された建築物など、総計270点余りの資料を展示。設計のプロセスを分かりやすく伝えてくれているだけでなく、歩んできた道程を追体験できる工夫がされています。
安藤忠雄の原点である住居作品を一挙公開
稀代の建築家である安藤忠雄の優れた感性と行動力はどのように育まれたのでしょうか。現在のアトリエの一部を原寸大で再現したブースでは、建築家になる以前に世界放浪をした際の旅のスケッチなどが展示されています。さらに、数回の増改築を経たアトリエの建物の変遷も見ることができます。安藤忠雄の活動歴を紹介するとともに、小さな息遣いさえも聞こえてきそうな日常に迫ることができます。
また、“人が住まう”住居こそ建築の原点であると掲げている安藤忠雄が手掛けた、初期の代表作から近年の圧倒的スケールの海外作品まで、100を超える住宅作品のハイライトを一挙公開します。模型やスケッチだけでは想像しにくい建物の全容も、動画で分かりやすく紹介。キャプションには住み手の声も記されており、住居としての安藤建築も知ることができます。
また、“人が住まう”住居こそ建築の原点であると掲げている安藤忠雄が手掛けた、初期の代表作から近年の圧倒的スケールの海外作品まで、100を超える住宅作品のハイライトを一挙公開します。模型やスケッチだけでは想像しにくい建物の全容も、動画で分かりやすく紹介。キャプションには住み手の声も記されており、住居としての安藤建築も知ることができます。
人の心の中で永遠に生きつづける建築
極限まで削ぎ落とされたシンプルな造形や無地のキャンパスのような建築に、光や風などの自然の断片が加わった時、安藤忠雄が目指している空間が生まれます。「教会シリーズ」が当時の想いを端的に表現しています。本展覧会では、原寸大の「光の教会」が野外展示場にて再現されているのでチェックしてみてください。
また、都市において一貫して試みてきたのは、周囲の風景に溶け込みながらも、建築内部に意図的に“余白”の空間を設け、人の集まる場を作ること。都心部にある「表参道ヒルズ」や「東急東横線 渋谷駅」、「21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3」などの内部構造に注目してみると、地下にドラマチックに広がる設計から伺えることでしょう。
また、都市において一貫して試みてきたのは、周囲の風景に溶け込みながらも、建築内部に意図的に“余白”の空間を設け、人の集まる場を作ること。都心部にある「表参道ヒルズ」や「東急東横線 渋谷駅」、「21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3」などの内部構造に注目してみると、地下にドラマチックに広がる設計から伺えることでしょう。
環境を読んで、古い建物の保存・再生に取り組む
1980年、「直島プロジェクト」をはじめ大自然に包まれた立地での建築が登場するようになりました。「それぞれの土地には、そこにしかない個性がある。」と語る安藤忠雄は、土地を訪ねることから仕事のプロセスが始まり、その土地との対話を充分に重ね、風景に溶け込む建物を設計していきます。広大で自然豊かな風景だけでなく、そこに生きる人々や物がアイディアの源だそうです。会場では「直島プロジェクト」の全貌がわかる作品が展示してあります。
近年では世界を股にかけ、多忙を極める安藤忠雄ですが、常に挑戦心をかき立てられるテーマである“歴史的建造物の保存・再生”にも力を入れています。そのまま保存するでもなく、建て直すことでもなく、自らの手で再構築し、新旧の保存として生み出すことは、決して簡単なことではないでしょう。
近年では世界を股にかけ、多忙を極める安藤忠雄ですが、常に挑戦心をかき立てられるテーマである“歴史的建造物の保存・再生”にも力を入れています。そのまま保存するでもなく、建て直すことでもなく、自らの手で再構築し、新旧の保存として生み出すことは、決して簡単なことではないでしょう。
挑戦という名の決意
現在、彼が手がけているプロジェクトは国内外合わせて30件にも及ぶそうです。76歳という年齢を感じさせないほど、常に新しいことに挑戦しつづける姿勢から、建築という文化の豊かさだけでなく、無限の可能性を感じることができました。
会場に足を運んだ際には、本人の面白エピソードが収録されている音声ガイドを借りてみてください。決意にも似た大胆な潔さに思わずクスッと笑ってしまい、きっと人間味あふれる彼の虜になってしまうことでしょう。
本展覧会と連動して「21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3」では、10月7日(土)~10月28日(土)に『安藤忠雄 21_21の現場 悪戦苦闘』を開催します。三宅一生の服づくりのコンセプト“1枚の布”に着想を得て、1枚の鉄板を折りたたむような屋根が特徴的な「21_21 DESIGN SIGHT」。建設の初期アイディアやスケッチ、建設現場での写真や映像を展示します。両館を巡り、建築というアートに大いに触れてみてはいかがでしょうか。
会場に足を運んだ際には、本人の面白エピソードが収録されている音声ガイドを借りてみてください。決意にも似た大胆な潔さに思わずクスッと笑ってしまい、きっと人間味あふれる彼の虜になってしまうことでしょう。
本展覧会と連動して「21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3」では、10月7日(土)~10月28日(土)に『安藤忠雄 21_21の現場 悪戦苦闘』を開催します。三宅一生の服づくりのコンセプト“1枚の布”に着想を得て、1枚の鉄板を折りたたむような屋根が特徴的な「21_21 DESIGN SIGHT」。建設の初期アイディアやスケッチ、建設現場での写真や映像を展示します。両館を巡り、建築というアートに大いに触れてみてはいかがでしょうか。
photo / 新 麻記子
『国立新美術館開館10周年 安藤忠雄展―挑戦―』
会期:2017年9月27日(水)〜 12月18日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室1E+屋外展示場
休館日:毎週火曜日
時間:10時〜18時、金曜日・土曜日:10時~20時
※9月30日(土)、10月1日(日)は22時まで
※入場は閉館30分前まで
『安藤忠雄 21_21の現場 悪戦苦闘』
会期:2017年10月7日(土)〜 10月28日(土)
会場:21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3
※掲載内容は記事公開時点のものです。最新情報は、各企業・店舗等へお問い合わせください。
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