3年に1度の現代アートの国際展。ヨコハマトリエンナーレ2017『島と星座とガラパゴス』
今年で6回目を迎えるヨコハマトリエンナーレ2017は、『島と星座とガラパゴス』というタイトルのもと、「接続」と「孤立」をテーマに開催されます。世界の“いま”と向き合う約40組のアーティストたちの作品が横浜に集結します。
- 2017.8.20
- アート・カルチャー
「接続」と「孤立」から世界の“いま”を考える
現在、世界では急速なネットワークの拡大やSNSなどの発達により、ネット上の小さなコミュニティやグループの中だけに身を置くような世界観の孤立が進んでいるように思えます。その一方で紛争や難民・移民の問題、保護主義や排外主義などの大きな問題も抱えています。
ヨコハマトリエンナーレ2017のテーマは、世界の「接続」と「孤立」。先行きの見えない時代に、人間の持つ勇気と想像力、創造力が、どのような未来とビジョンを導き出すのか?『島と星座とガラパゴス』というタイトルのもと、アートを通じて様々な角度から考察します。
写真:マップオフィス 《慣らされた島(日本)―ファンタジーの島》2017 ヨコハマトリエンナーレ2017展示風景
ヨコハマトリエンナーレ2017のテーマは、世界の「接続」と「孤立」。先行きの見えない時代に、人間の持つ勇気と想像力、創造力が、どのような未来とビジョンを導き出すのか?『島と星座とガラパゴス』というタイトルのもと、アートを通じて様々な角度から考察します。
写真:マップオフィス 《慣らされた島(日本)―ファンタジーの島》2017 ヨコハマトリエンナーレ2017展示風景
横浜美術館に大規模な作品が登場
常に自らの置かれた社会状況に関わり、芸術概念を広げる活動をしている中国生まれの作家 アイ・ウェイウェイ。メイン会場となる横浜美術館の正面外壁と柱に、救命ボートと難民が実際に使用した救命胴衣を用いて、難民問題に対する大規模な展示にて発表しています。(写真左)救命胴衣を近くで見てみると、傷や汚れがついており、道中を想像するだけで胸が痛くなります。世界では難民問題で大きく揺れているにも関わらず、日本国内では難民に関するニュースが少ない現状において、作品を通して難民のことを考えさせてくれました。
そして、同館内のグランドギャラリーでは、ジョコ・アヴィアントが、注連縄(しめなわ)をイメージし、インドネシアの竹を独自の手法で編み上げたダイナミックな新作を展示。自国では失われつつある伝統文化と人間と自然の共存について、昔から親しまれてきた竹を使った作品を通して考察を重ねています。(写真右)
写真左:アイ・ウェイウェイ(艾未未) 《安全な通行》2016 《Reframe》2016 ヨコハマトリエンナーレ2017展示風景(横浜美術館)
写真右:ジョコ・アヴィアント 《善と悪の境界はひどく縮れている》2017 ヨコハマトリエンナーレ2017展示風景
そして、同館内のグランドギャラリーでは、ジョコ・アヴィアントが、注連縄(しめなわ)をイメージし、インドネシアの竹を独自の手法で編み上げたダイナミックな新作を展示。自国では失われつつある伝統文化と人間と自然の共存について、昔から親しまれてきた竹を使った作品を通して考察を重ねています。(写真右)
写真左:アイ・ウェイウェイ(艾未未) 《安全な通行》2016 《Reframe》2016 ヨコハマトリエンナーレ2017展示風景(横浜美術館)
写真右:ジョコ・アヴィアント 《善と悪の境界はひどく縮れている》2017 ヨコハマトリエンナーレ2017展示風景
“横浜”に関連した新作も
横浜の歴史的遺産である横浜赤レンガ倉庫1号館では、小沢剛がグローバルに活躍した歴史上の人物を題材にした新作「帰って来た」を発表。明治の世を駆け抜けた横浜生まれの伝説的な思想家・美術史家の足跡をたどります。(写真左)
また、ユーモアと哀愁に満ちた写真や彫刻、映像作品等で知られるクリスチャン・ヤンコフスキーは、重量挙げのポーランド代表チームの現役選手が、ワルシャワ市内の歴史的人物の彫刻を持ち上げようとするものや、オリンピックを目前にした日本の「気の流れ」を良くしようと、横浜の公共彫刻を揉みほぐそうと診断するマッサージ師の映像作品を発表しています。(写真右)マッサージ師の映像作品を鑑賞する場合は、自分自身がマッサージチェアに座るか、マッサージ台に乗ります。マッサージ師の施術により公共彫刻が揉まれていると、まるで自分自身の身体も揉まれているかのような不思議な錯覚に陥ります。
写真左:小沢剛 《帰って来たK.T.O.》2017 ヨコハマトリエンナーレ2017展示風景
写真右:クリスチャン・ヤンコフスキー 《重量級の歴史》2013 ヨコハマトリエンナーレ2017展示風景
また、ユーモアと哀愁に満ちた写真や彫刻、映像作品等で知られるクリスチャン・ヤンコフスキーは、重量挙げのポーランド代表チームの現役選手が、ワルシャワ市内の歴史的人物の彫刻を持ち上げようとするものや、オリンピックを目前にした日本の「気の流れ」を良くしようと、横浜の公共彫刻を揉みほぐそうと診断するマッサージ師の映像作品を発表しています。(写真右)マッサージ師の映像作品を鑑賞する場合は、自分自身がマッサージチェアに座るか、マッサージ台に乗ります。マッサージ師の施術により公共彫刻が揉まれていると、まるで自分自身の身体も揉まれているかのような不思議な錯覚に陥ります。
写真左:小沢剛 《帰って来たK.T.O.》2017 ヨコハマトリエンナーレ2017展示風景
写真右:クリスチャン・ヤンコフスキー 《重量級の歴史》2013 ヨコハマトリエンナーレ2017展示風景
日本初!本格紹介の若手アーティスト
現在の中国が抱える問題に対して、正面から切り込む作品を発表しているザオ・ザオ。彼が手がける「プロジェクト・タクラマカン」は、作家の出身地であり、たびたび民族問題の舞台となるタクラマカン砂漠の真中に冷蔵庫を運んで配線し、冷えたビールを飲むという行為を映像にした作品です。ユーモアと壮大なスケールで、かつてシルクロードで様々な物や人、文化が行き交った歴史や、現在の孤立した状況などについて思いを馳せます。
また、イアン・チェンは、管理され閉じられた世界での意識の芽生えをテーマにした映像作品「使者は完全なる領域にて分岐する」を展示。プログラミングにより様々な状況がリアルタイムにシミュレーションされて映し出され、神の使いに見立てられた柴犬達が画面内で衝突と変容を繰り返し、予期せぬストーリーを紡ぎ出します。(写真右)
写真左:ザオ・ザオ(赵赵) 《プロジェクト・タクラマカン》2016 イメージ
写真右:イアン・チェン 《使者は完全なる領域にて分岐する》2015-2016 ヨコハマトリエンナーレ2017展示風景
また、イアン・チェンは、管理され閉じられた世界での意識の芽生えをテーマにした映像作品「使者は完全なる領域にて分岐する」を展示。プログラミングにより様々な状況がリアルタイムにシミュレーションされて映し出され、神の使いに見立てられた柴犬達が画面内で衝突と変容を繰り返し、予期せぬストーリーを紡ぎ出します。(写真右)
写真左:ザオ・ザオ(赵赵) 《プロジェクト・タクラマカン》2016 イメージ
写真右:イアン・チェン 《使者は完全なる領域にて分岐する》2015-2016 ヨコハマトリエンナーレ2017展示風景
星座や島が点在する多島海をイメージ
人々が行き交い、交流の場となってきた横浜で開催される6回目の横浜トリエンナーレ。一つ一つの作品と展示、街中で展開するプロジェクトやプログラムを星座のように繋ぎ合わせていくことで、私たちが生きるこの世界について考えを深めながら、アートがもつ未知の可能性を探る機会となるでしょう。
photo / 新麻記子
ヨコハマトリエンナーレ2017『島と星座とガラパゴス』
会期 :2017年8月4日(金)〜11月5日(日)
休場日:第2・4木曜日(8/10、8/24、9/14、9/28、10/12、10/26)
会場 :横浜美術館/横浜赤レンガ倉庫1号館/横浜市開港記念会館 地下 ほか
開場時間:10:00~18:00(最終入場17:30)
[10/27(金)、10/28(土)、10/29(日)、11/2(木)、11/3(金・祝)、11/4(土)は20:30まで開場(最終入場20:00)]
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