未知なる地球のフロンティア『特別展深海2017〜最深研究で迫る“生命”と“地球”〜』

7月11日(火)より東京・国立科学博物館にて開催中の『特別展深海2017〜最深研究で迫る“生命”と“地球”〜』。ダイオウイカとの遭遇から4年の歳月を経て、最新の研究成果をもとにパワーアップして戻ってきた本展覧会をご紹介します。
 新 麻記子 読者ライター
水深200mよりも深い世界をさし、海全体の90%も占める深海は、いまだ未探索のエリアが多く謎に包まれている場所です。
本展覧会では、深海に生きる発光生物や巨大生物などに焦点をあてながら、4Kカメラで撮影した生き物たちの最新映像を上映。さらに、最新の研究成果からわかってきた巨大災害や海底資源を、実物の機材や映像・CGなどを駆使して、わかりやすく紹介しています。

深海を星のように瞬く発光生物

水深200〜1000mの微かに光が届くトワイライトゾーンでは、発光する能力を持つ深海生物がたくさん見つかります。発見された全体の9割にも及ぶ発光生物は、光り方も多種多様で、その目的についても未解明なことだらけ。「生物発光シアター」では、刺激を受けると輝き、発光物質を撒き散らすクロカムリクラゲをはじめ、発光生物の光を見るために特殊な目を発達させたデメニギス、その他発光生物の貴重な映像と生物標本を紹介しています。

地球最深部への挑戦からわかった研究成果

深海での調査は生物にとどまりません。有人潜水調査船「しんかい6500」を使った深海底の調査や、世界最大の科学掘削船「ちきゅう」を用いた緊急断層掘削プロジェクトでは、東北地方太平洋沖地震発生のメカニズム解明に向けて大きな成果をもたらしました。
本展では、「ちきゅう」の船舶模型や、掘削に用いられた実物のドリル、海底下深部から採取された地震断層など展示し、最新の研究成果を展示しているほか、新たなエネルギー資源として注目を集めている、日本近海から採取されたメタンハイドレートやレアアースなども紹介されています。

深海生物から今後の生態系を考える

前回の深海展で注目を浴びたダイオウイカをはじめ、想像を超える巨大な生物が生息している深海は、地球上で最も大きいエリアを占めることから、そこでの生態系に大きな変化が生まれた場合、地球全体への影響も憂慮されています。環境変動や人間活動により個体数が変動しやすい深海生物。それにより、もし深海の上位捕食者がいなくなってしまった場合、今後の深海生態系はどのようになってしまうのか。私たちは考える時期に来ているのかもしれません。
最新の研究成果をもとにパワーアップして戻ってきた本展覧会。
会期中には、毎週土曜日の午後6時以降に特別展に入場(もぎりを通過)した方、各日先着800名に闇で深海生物が光るオリジナル蓄光ステッカー(非売品)をプレゼント!
さらには、展示トピックの一つである「日本周辺の深海生物相とその成り立ち」に関連して、日本海と三陸沖の深海性動物相の特徴と形成の歴史について貝類を中心に解説するイベントなどが開催されます。
是非、この機会に深海の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

photo / 新麻記子

特別展「深海2017~最深研究でせまる“生命”と“地球”~」
会期:2017年7月11日(火)~10月1日(日)
時間:午前9時~午後5時(金曜日・土曜日は午後8時まで)
   ※夏休み特別開館延長【8月13日(日)~20日(日)】
   午前9時~午後6時(8月18日(金)、19日(土)は午後8時まで)
   ※入場は各閉館時刻の30分前まで ※今後の諸事情により、
   開館日・時間等について変更する可能性がございます。
休館日:7月18日(火)、9月4日(月)・11日(月)・19日(火)

http://shinkai2017.jp

※掲載内容は記事公開時点のものです。最新情報は、各企業・店舗等へお問い合わせください。
内容について運営スタッフに連絡

関連キーワード

関連特集