猫が教えてくれること「バランス」/料理家・坂田阿希子さんの場合vol.3

猫の猫らしい行動に、自分の生き方を重ねてハッとする瞬間があります。料理家の坂田阿希子さんも、その一人。坂田さんのしあわせは、すべてのバランスが取れていること。バランスを保つためには飼い猫ビスコ(メス・2歳)の存在が欠かせないそうです。
 宇佐見明日香

バランスが取れているというしあわせ

密度が濃く短い毛は撫でると驚くほどに柔らかい。そんなビスコ(メス・2歳)の飼い主は料理家の坂田阿希子さんです。坂田さんが執筆した料理やお菓子の本は約60冊!書籍や雑誌、TV出演などで活躍される一方、主宰する料理教室「studio SPOON」は今年で20周年を迎え、レッスンの開講数をさらに増やしました。

「自分の好きな仕事で忙しくできるのはしあわせなこと」と前置きしながらも「仕事だけではバランスが崩れてしまいます」と坂田さん。

「好きな仕事があって、応援してくださる方がいて、平和な日常、健康な肉体があって、ビスコがいてくれる。すべてが揃っていて、バランスが取れていることが私にとってのしあわせです。
特にビスコが担っている役割は大きいんですよ。どんなに仕事で疲れていても、ボーッと窓の外を見ていたり、主のいないベッドで眠りこけていたり。こちらの事情などまったくお構いなしといった風情のビスコがそこにいてくれるだけで、忙しい毎日の中でもほっとひと息つくことができるんです」

生きたいようにしか生きない美しさ

幼少の頃は神社の野良猫と遊び、大人になってからはなぜかよく猫を拾い、必然性を感じる出会いで先代の猫のまるちゃんとビスコの飼い主になった坂田さん。

「猫のすべてに憧れています。だから、飼っているというよりも一緒にいさせてもらって、その美しい生き方を学んでいるという方が近いかも。外にこそ出しませんけど、それ以外は、あれしちゃダメ、これしちゃダメとは言いません。テーブルに乗ってもOK。生きたいようにしか生きない猫が好きだし、尊敬しているからです」

「外から帰っても必ず玄関で出迎えてくれるわけでもなければ、呼んでも眠い時は姿さえ見せてくれません。べったり近くにいたかと思えば、こちらから寄っていくとスルッと離れていってしまう。『いつもこう』という決まりがなく、本能のままに生きる。そんな猫の行動に、昔も今も魅せられ続けています」

ビスコが大きな支えとなっている坂田さんの「しあわせ=バランス」。自分がどんなバランスの中で生かされているか、一度、紙に書き出して振り返り、より心地のいいバランスへと調整を試みたり、感謝を忘れないようにできたらと思います。
坂田さん、そしてビスコ、たくさんの教えをありがとうございます。

筒井聖子

料理家・坂田阿希子

http://www.studio-spoon.com/contents.htm

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