人も、動物も、強い信念と母性で包み込む『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』

12月15日(金)より『ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命』が公開されます。自らの命の危険を冒しながらも、ナチス・ドイツに立ち向かい、ユダヤ人300名を動物園の地下で匿った、勇気ある女性の感動の実話である本作品をご紹介します。
 新 麻記子 読者ライター

本当に大切なものを見つめる心

1939年、ポーランド・ワルシャワ。ヤンとアントニーナ夫妻は、ヨーロッパ最大の規模を誇るワルシャワ動物園を営んでいました。アントニーナの日課は、毎朝、園内を自転車で巡り動物たちに声をかけること。時には動物たちのお産を手伝うほど、献身的な愛を注いでいました。

しかしその年の秋、ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発。動物園の存続も危うくなる中、夫・ヤンから「この動物園を隠れ家にする」という驚くべき提案をされるのです。人間も動物も、すべての生きるものへの深い愛情を持つアントニーナはすぐさまその言葉を受け入れました。ヤンがゲットー(ユダヤ人の強制居住区域)に忍び込み、ユダヤ人たちを次々と救出し動物園の檻に忍び込ませます。アントニーナは得意のピアノや温かい食事で、彼らの傷ついた心を癒していきます。そのピアノの音色はときに、“逃げて”などの合図になることもありました。この“救出活動”がドイツ兵に見つかったら、自分たちだけでなく我が子の命すら狙われてしまいます。

夫・ヤンが不在になることも多い中、アントニーナはひとり“隠れ家”を守り、決してひるむことなく果敢に立ち向かっていきました。いくつもの危険を冒しながら、いかにして300もの命を救ったのでしょうか―。

愛と、希望と、思いやりのある主人公

本作は、ダイアン・アッカーマンのノンフィクション作品『ユダヤ人を救った動物園 ヤンとアントニーナの物語』(亜紀書房)の待望の映画化になります。ナチス支配下の悲惨な現状において、自らの命の危険を冒して300名のユダヤ人を救った、ワルシャワで動物園を営むヤンとアントニーナ夫婦。“すべての命は等しく、すべての命は守られるべきものである”という強い信念のもとアントニーナのとった行動は、絶望の淵に立たされたユダヤ人たちを勇気づける希望となりました。

そして、本作の主演とエグゼクティブプロデューサーを務めたのは、ジェシカ・チャスティン。
ウサーマ・ビン・ラーディンの殺害に至る経緯と作戦に挑む特殊部隊を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』で第70回ゴールデングローブ賞最優秀主演女優賞を受賞し、『オデッセイ』など話題作への出演が続く女優です。強さと優しさを兼ね備えた美しい主人公であるアントニーナ・ジャビンスカを熱演しています。

現代の視点で学べるポイント

人間は歴史から学ぶことができます。幾度も過ちを繰り返しながらも、社会はより良い未来に向かって前進していきます。重く暗い歴史から“現在”に通ずる部分を見出して、過ちを繰り返さないように対策を練ることができます。世界各地における民族対立、紛争、テロ、ヘイトスピーチが後を絶たない今日において、この物語は人間の尊厳を見つめ直すことの重要性を問いかけている作品になっていると思います。

ドイツ占領下のポーランドで、自ら経営していた軍需工場に労働者としてユダヤ人を雇い入れ、その身柄を保証し救ったオスカー・シンドラー。ナチスに迫害されていた多くのユダヤ人にビザを発行し、彼らの亡命を手助けした“日本のシンドラー”と呼ばれた外交官の杉原千畝。そして、人も動物も母性で包み込む、深い愛情を持つ本作の主人公、アントニーナ・ジャビンスキ。
上記の人物はナチス支配下の悲惨な現状において、自らの命を冒してユダヤ人を救った勇敢な人物です。
しかし、彼らは特別権力を持った政治家でも、基盤がある有名人でもありません。ただ、“平和”という希望を胸に実際に行動に移し、私たちと何ら変わりのない人たちです。
作品を通して自分の人生において何が出来るのか考え、出来ることを行う機会になることでしょう。

photo / (C)2017 ZOOKEEPER’S WIFE LP. ALL RIGHTS RESERVED.

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命

12月15日、TOHOシネマズみゆき座他にて全国公開
監督:ニキ・カーロ
出演:ジェシカ・チャステイン、ダニエル・ブリュール、ヨハン・ヘルデンベルグ、マイケル・マケルハットン
配給:ファントム・フィルム

http://zookeepers-wife.jp

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