鑑賞や体験だけじゃない、アウトプットもできる『岡本太郎と遊ぶ』展

現在、生田緑地内にある川崎市岡本太郎美術館では『岡本太郎と遊ぶ』展が開催されています。“岡本太郎と遊ぶ”をテーマとした作品を紹介するとともに、自由な感性で描いた「遊ぶ字」を展示。五感で楽しみながら、真剣に遊ぶことができる本展覧会をご紹介します。
 新 麻記子 読者ライター

命の全てをぶつけて「遊ぶ」

芸術家・岡本太郎は「『遊び』と『お遊び』は全然違う。『遊ぶ』は真剣な、全人間的な、つまり命の全てをぶつけての無償の行為だ。」と言っています。
『岡本太郎と遊ぶ』展では、彼が命をぶつけて生み出した作品と真剣に“遊ぶ”ことができます。岡本太郎が手がけた芸術に触れ、真剣に遊ぶことで、私たちの創造性を引き出してくれます。

比べて、眺めて、触って遊ぶ

作品を見ていると、制作時に何枚もの下書きを描いて試行錯誤を重ねていることが伺えます。ぜひ、下書きと完成作品を見比べて、小さな変化に注目してみてください。下書きの過程を経て完成となった作品を鑑賞してみると考え深いものがあります。

まるで寺院仏閣のような雰囲気漂う畳の部屋では、心と体を落ち着かせながら、作品「夢」を見るのがおすすめ。座って見たり、寝転んで見たり、くつろいだり、ぼうっと一休みをしたり。自分の“夢”について考える貴重なひと時になるはずですよ。

自由な感性で描いた「遊ぶ字」

岡本太郎は、字と絵の表現はもともと同じだと考えていました。無心に字を書いていると自然と絵になってしまうとも言っています。本展では、そんな岡本太郎が自由に感じたままに書いた「遊ぶ字」も展示。1980年公開制作で描いた「挑む」や版画作品、ご本人執筆の字を使用したポスターやパンフレットなどとあわせ、「遊ぶ字」として画集にまとめられた原画の数々を紹介しています。

おと・リズム、仮面で遊ぶ

その他、展示室内には『さわって遊ぶ』、『おと・リズムで遊ぶ』、『仮面で遊ぶ』、『においで遊ぶ』、『ことばで遊ぶ』など、五感を使って体験できるコーナーもあります。

『おと・リズムで遊ぶ』のコーナーには、ツノがついている鐘「梵鐘・歓喜」やアフリカの打楽器が置かれていて、実際に触ったり、楽器の音を出すこともできます。周りに展示されている岡本太郎さんの作品を鑑賞しながら、見て感じたことを思うままに音を出して表現してみましょう。友達や、家族で訪れた際は、セッションしてみてもいいかもしれません。

体験だけじゃない、アウトプットもできる

井上尚子さんとのワークショップから発展した『においで遊ぶ』や、詩人・田中庸介さんと漫画家・横山裕一さんとのコラボレーション『ことばで遊ぶ』、自由に思いついたままに描ける『遊ぶ字に挑戦!』の3つのコーナーは、創造性を引き出してくれるアウトプットの場でもあります。これは「芸術は鑑賞するだけでは、だめだ。誰でもひとの眼を恐れず、平気で創り、自分をひらく。生命の感動を確かめてほしい。」という、岡本太郎の言葉にヒントを得てできたコーナーといっても過言ではありません。自由に表現することを忘れてしまった大人たちにこそ、のびのびと自由に挑戦してほしいと感じました。

様々なアートに触れることができ、真剣に遊ぶことができる『岡本太郎と遊ぶ』展は10月15日まで。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

photo / 新麻記子

『岡本太郎と遊ぶ』展 

会場:川崎市岡本太郎美術館
会期:2017年7月15日(土)~10月15日(日)
休館日:月曜日(7月17日、9月18日、10月9日を除く)、
    7月18日(火)、9月19日(火)、10月10日(火)
開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
観覧料:一般900(720)円、高校・大学生・65歳以上700(560)円、中学生以下無料
   ( )は20名以上の団体料金

http://www.taromuseum.jp/exhibition/current.html

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