陶芸の面白さは“目に見えて技術が向上していくこと”。陶芸家・寺村光輔さんの生き方

「大学時代に偶然行った教室で陶芸にはまってしまった…」という寺村光輔(てらむら こうすけ)さんは若手作家のホープとも言える存在。東京生活から一転して益子へ移住し、ひたすら作陶に向かい続ける寺村さんの想いを伺いました。
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陶芸教室に行ったのがきっかけで、陶芸にのめり込むことに。

色も形もいたってシンプルだけれど優しい温かみを感じる器作りを続けている寺村光輔さん。東京出身で、東京の大学を卒業後、陶芸の町・益子へ移住。以来活動歴は12年余り、注目の若手作家のひとりです。

「陶芸に出会ったのは、大学時代にたまたま行った陶芸教室です。やればやるほど、目に見えて技術が上達していくのが面白くてどんどんのめり込んでいきました」と言う寺村さん。大学卒業にあたり、就職活動をしてはみたものの「自分はこれがしたい」というものが明確にみつけられなくて、じゃあ益子に行って陶芸を本格的にやってみようと思い立ったそうです。その地に益子を選んだのは、大学時代に訪れたことがあって、馴染みがあったというのが一番の理由だったとか。

何とかやっていけるかもしれないと、益子へ移住。

「益子は、個人作家の集まりで陶磁器の産地として成り立っているのが特徴です。近現代の日本を代表する陶芸家の一人、濱田庄司もよそから益子に来た人だったんですが、それが表しているように、外から入りやすい雰囲気があります。僕も、何回か訪れるうちに、同年代の若い人を紹介されて、ここでなら何とかやっていけるかもしれないと思ったことが、益子で陶芸の修行を始めようと思ったきっかけです」。

そして、大学を卒業後すぐに益子に引っ越して、ある工房で修業を開始。月曜から土曜の、朝から夕方までの工房の仕事のほかにも、道具を使わせてもらって自らの技術の向上につとめたそうです。そして、3年ほどたった頃から益子の陶器市で作品の販売を始めると、陶器を販売しているお店の方の目に止まって、声をかけられることが多くなっていきました。

先輩の言葉に背中を押され、“覚悟を決めて”独立へ。

「とりあえず、3年は修行しようと思っていました。でも、3年続けても自分の技術は、思い描いていたレベルに達していない。まだまだだと思いました」。そこで寺村さんは独立を決意します。「ずっと工房で修業を続け、技術を高めていくのもひとつの手だし、誰か個人の作家についてもっと違う勉強をするという方法もあったんですが、ちょうどその頃独立資金を貸してくれる基金ができて、応募したら通ったんです。先輩の作家の“覚悟を決めないと、いつまでたってもできないよ”と言う言葉にも背中を押されて、最後は勢いで独立しました。

現在は、寺村さんの作品を扱ってくれる販売店(サイト)からの受注品の製作に加え、2016年は年間5回ほどある個展の準備で忙しい日々を送っている寺村さん。「挑戦したいことは、それこそ山のようにあります。でも、それもしつつ、一歩一歩足元を見ながら進んでいきたいと思います。今の状態でいいと思ってしまったら成長はありませんから」という力強い言葉に思わず「応援してます」と声をかけてしまいました。

photo / 川村尚子

寺村光輔さんの器が買えるお店

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