レース糸から生み出されるリアルな生き物たち。マスダマチコさんの編み標本

蝶やカタツムリ・トカゲ・カエル…マスダマチコさんが生み出す、レース糸で編まれた小さな生き物たち。編み物とは思えないほど精巧でリアルなその姿には、思わず息を呑みます。虫や爬虫類が苦手な人でも、つい目を奪われ、何かを感じずにはいられませんよ。
 カナ

虫や爬虫類はお嫌いですか?

忌み嫌われることの多い、虫や爬虫類などの小さな生き物たち。しかし、その生態は驚きと神秘に満ちていて、知れば知るほどその奥深い世界にはまってしまう人もいるようです。また、色や形など造形的な美しさに惹かれ標本として集めるコレクターも。

今回ご紹介するマスダマチコさんも、そんな小さな生き物の魅力にとりつかれてしまった一人です。

レース糸で生み出されるリアルな生き物たち

マスダマチコさんは、昆虫や爬虫類・植物など、自然の中の小さな命をレース糸を使ってリアルに表現している造形作家です。
レース糸を編んで作られた立体的な作品は、いわば編みぐるみのようなもの。しかしその作品は、編み物とは思えないほどの精巧さで、見るものを惹きつけます。

元々、絵やデザインに携わる仕事をしていたマスダさん。ある日、とあるアンティークショップで昆虫のブローチを目にし、ふと編みぐるみの昆虫があったら面白いのでは?と思い、作品を作り始めました。

始めてみると、これまで知らなかった編み物の世界にも生き物の世界にも面白さを感じ、引き込まれていったそう。さまざまに試行錯誤を重ねた末、細い糸を使ってリアルな生き物を作れるようになったといいます。

見る人それぞれの感覚を味わってもらいたい

まるで今にも動き出しそうなほど、生き生きとした作品。マスダさんは、どのような思いで制作しているのでしょうか。

「あ、虫だ!という瞬間と、そのあと湧いてくる感覚は人それぞれで、一人ひとり特有の感性だと思うのです。編んで作られた生き物たちを見た時にも、その特有なものが湧いているような気がしています。私自身が表現したい事はあまり無くて、作品を見た時に湧いてくる個人的な感覚を面白がってもらいたいと思っています」(マスダさん・以下同)

本物を見たときのような体験をしてもらうために、できる限り実物大に近づけ、リアルに見えるよう心がけているのだそう。そのこだわりの制作方法についてもお話を伺いました。

リアルさへのこだわりと追求

作品は、いくつもの工程を経て生み出されます。
まずは綿や絹などの細い糸でパーツごとに編み上げ、一つひとつを手作業で着彩。色・模様は、図鑑や実物の標本などを観察しながら、アクリル絵の具とマニキュアを使って描いていきます。

パーツによって、ワイヤーやビーズを使ったり、透明な羽を表現するため半透明の豚革を使用したりなど、その生き物の特徴に合わせて素材を使い分けているそう。

仕上がった作品は、専用の箱に入れて販売されます。また、すべての作品にはブローチの金具が付属。
標本のように箱に入れて飾っておくのはもちろん、アクセサリーとして身に着けることもできますよ。

ぜひ実物に触れてみて

「作り始めて 4年目にはいりましたが、資料の博物画や図鑑を見ると作りたい物がいっぱいで幸せな気持ちが押し寄せてきて、我ながら呆れるほどです。
自然や生き物の連携する仕組みや生態についてもう少し詳しくなって、その繋がりも面白がれる作品に辿り付きたい」

と、すっかり生き物たちの魅力にはまってしまっているマスダさん。
その言葉を聞いて、苦手とか興味がない、とこれまで避けてきた世界にも、踏み込んでみたら思いがけない魅力が詰まっているかも…と、なんだか新しい扉を開けてみたくなりました。

作品は下北沢の「ダーウィンルーム DARWIN ROOM」にて取り扱いがあります。実物を目にしてみたい方は、ぜひ訪れてみてください。そのリアルなまでに緻密に表現された生き物たちを前に、あなたは何を感じるでしょうか?

photo / マスダ マチコ

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