「金継ぎ」のやり方&東京都内のおすすめ教室<3選>

毎日使っているお皿やカップ。お気に入りのものほど不注意で割ってしまったり、欠けてしまうものです。でも、そこで諦めないでください。「金継ぎ(きんつぎ)」という日本の伝統技法を使えば、お気に入りの食器を生き返らせることができます。最近では、キットが市販されていたり、ワークショップや教室も開講していますよ。
 Sheage編集部

金継ぎとはどういう技術?

photo:Shutterstock

金継ぎとは、ひと言で言うと、割れた器の断面を漆で接着したり、欠けた部分を漆で埋めたりして、修復することです。
漆は、お碗などに塗られている塗料では?と思うかもしれませんが、小麦粉や木の粉などを混ぜると接着剤の役割を果たすようになります。その漆の性質を利用して、壊れた器の修復をするのが金継ぎの技法。工程の最後に器の表面に見える漆の部分に装飾として金属粉(金や銀)を振りかけるので、金継ぎの名で呼ばれるようになったのです。
壊れる前にはなかった部分ができるわけですから、元に戻ったとは言えません。でも、だからこそ新たな魅力が付け加わったと考えることもできます。

茶道の精神を表す言葉に「日々是好日」というものがあります。それは、「ありのままを受け入れて生きていれば、毎日が好い日になる」という意味。金継ぎは、まさにこの「ありのままを受け入れる」修復方法だとも言われています。そこに芸術的な意味を見出し、アートとして日本国内のみならず、最近では海外でも注目されている金継ぎ。日本に学びに来る人も増えているのだとか。日本の代表的な芸術のひとつと評価される日も近いかも知れません。

金継ぎに必要な道具とやり方

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そういえば、ちょっと縁が欠けたお皿があったけれど、気に入っているので捨てられないでいる…。そんな心当たりがある方は、金継ぎに挑戦してみたくなるのでは?でも、難しそう…と躊躇っていたらもったいない。道具さえあれば自宅でも意外と簡単にできるんです。

金継ぎをするのに必要なものは以下の通り。

【金継ぎに必要な道具】
・生漆
・木の粉(漆と混ぜてペースト/パテを作ります。大きな欠け用)
・砥の粉(漆と混ぜてペースト/パテを作ります。小さな欠け用)
・小麦粉(漆と混ぜてペースト/パテを作ります)
・竹べら(漆を塗るもの)
・細い筆(漆を塗るもの。金粉を蒔いたり、掃いたりするように何本かあると便利)
・マスキングテープ(漆が必要のない部分につかないように保護するため)
・耐水性のサンドペーパー
・金属粉(塗ったり埋めたりした漆の上を装飾するための粉)

道具としては以上ですが、忘れてはいけないのは、漆のかぶれ。漆にかぶれやすい人は手袋やマスク、靴下を履くなどして、肌を漆にさらさないようにしましょう。

これらが、金継ぎをするのに最低限必要なものですが、一つひとつ集めるのは面倒と思う人もいるでしょう。漆などの素材は、場合によっては少量ずつ購入するのは難しいことも。ちょっと試してみたいというときは、市販の金継ぎキットがおすすめです。漆などの必要な素材と道具がセットになっているので、これがあればすぐにでもはじめられます。

次に金継ぎのやり方についてご紹介します。

【金継ぎのやり方】
1.漆に木の粉や小麦粉などをまぜて接着剤(欠けた部分を埋める場合はペースト)を作る

photo:Makers’ Base

2.割れた器の断面、あるいは欠けた部分に接着剤(ペースト)を塗る(埋める)

3.割れ目を合わせてくっつける

4.接着面、欠けを埋めた部分の隙間を、パテで埋めていく

photo:Makers’ Base

5.漆が乾いたら、はみ出した部分をサンドペーパーで磨く

6.金属粉を接着する下地用の漆を塗る

7.漆が少し乾いてきたら、金属粉を蒔く

photo:Makers’ Base

8.金属粉を定着させ、きれいに磨いて完成

教室やワークショップ、工房へ行くのもおすすめ

photo:Shutterstock

金継ぎは、誰がやっても同じように仕上がるわけではありません。どのように漆を塗っていくか、どのように割れ目を埋めていくか、金属粉はどんなものをどのように振るかによってできあがりは違ったものになります。つまり、自分で作品を作ったような気分を味わえるのが醍醐味。その面白さを知ってはまってしまう人も急増中。そこで都内で金継ぎを学ぶことができる教室、ワークショップを開催しているスポットなどをご紹介します。

■Makers’ Base(メイカーズ・ベイス)

photo:Makers’ Base

木工などの各種工芸、陶芸、縫製など様々なものづくりを行うことができる会員制工房。都立大学駅から徒歩1分とアクセスも便利。金継ぎ以外にも多数のワークショップを行っています。漆の代用素材とエポキシ接着剤を使った作業で、厳密な意味での「金継ぎ」ではありませんが、その代わり初心者でも簡単に挑戦できます。

「はじめての金継ぎ体験」
受講料:4,860円/回(会員、一般)

住所:東京都目黒区中根1-1-11
https://makers-base.com/

■金継ぎ暮らし

photo:金継ぎ暮らし

東京都内の主に3ヵ所(三軒茶屋、用賀、府中)でワークショップを開催。1回1時間半ほどで簡易に金継ぎ作業を体験することができます。時間内であれば、いくつ作業してもよいのだとか。初めての人でも、1人1人の器の状態に合わせた修理のアドバイスがもらえ、簡単にできるのもポイント。銀粉を使った銀継ぎも体験可能。

受講料:6,000円/回

三軒茶屋教室:東京都世田谷区三軒茶屋1-28-3 Cafe Fuze
用賀教室:世田谷区用賀4丁目(詳細は参加者に個別に連絡)
府中教室:東京都府中市府中町2-24 ルミエール府中

https://kintsugikurashi.com/

■にっぽん てならい堂

photo:にっぽん てならい堂

「ツカウ」と「ツクル」を五感でつなげるをコンセプトに、道具が持つ物語を知り、こころ良い生活を手に入れるための活動を行っている「にっぽん てならい堂」です。2019年秋から、全7回の「初めての金継ぎ」と題したワークショップを神楽坂と吉祥寺で開催。初めての人たち同士がワイワイと楽しめる教室になりそうです。金継ぎは実はとっても時間がかかる作業。この教室では7回という時間を掛けて、本格的な金継ぎを学ぶことができます。

「はじめての金継ぎ」
受講料:4,500円/回
全7回※指導料、材料費、会場費、道具使用料込み。割れた器が必要な人は別途料金がかかります(秋シーズンは満席。次回募集をお待ちください)

神楽坂教室:詳細はお申込み後に連絡
吉祥寺教室:武蔵野市吉祥寺東町2-40-22 吉祥寺カフェORIDO

https://www.tenaraido.jp/tenarai/kintsugi/

工房に依頼するという方法も

photo:Shutterstock

最近金継ぎが注目を集めているせいか、ワークショップや教室が多数開かれているようですが、やっぱり自分でやるのはハードルが高いと思う人もいるかもしれません。その場合は、金継ぎを専門に行っている工房に依頼するという手があります。
漆の職人が本業の傍ら、金継ぎを行っていたり、長く金継ぎだけを行っている専門の職人もいるようですので、調べてみるといいでしょう。費用がどのぐらいかかるか心配な場合は、作業に入る前に見積もりを取れば安心です。

金継ぎは新しいものを作り出すこと

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最近よく聞く金継ぎ。器が好きな人にとっては、高級品であろうが、安物だったりキャラクターものであろうが、大事にしているものが壊れてしまったらショックですよね。それを直せるということで注目を集めているのかもしれません。金継ぎの面白い点は、元に戻すのではなく、新しいものに生まれ変わるということ。大事にしていたからこそ、金継ぎをして新たな魅力が付け加わったら、ますます愛着が生まれそうな気がします。

※掲載内容は記事公開時点のものです。最新情報は、各企業・店舗等へお問い合わせください。
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