月に3日だけオープンする花屋「C’est la vie」は、植物も人間もゆったり呼吸できる空間
フラワ-ショップといえば、色とりどりの切り花が整然と並んでいるイメージが一般的ではないでしょうか。でも、まるでそこに種が蒔かれ、育ってきたままに花が売られているようなお店があることを知り、俄然興味が湧いて訪ねてみました。
- 2017.11.18
- インテリア・生活雑貨
意外な場所に、意外な楽園が!?
千葉県船橋市飯山満(はさま)町。東葉高速鉄道(東西線から乗り入れ)で、大手町から30分ほど。都心から行くと、ちょっと足を伸ばす感じにはなりますが、駅を降りると住宅街の中に田畑が広がり、自然が豊かなのんびりとした場所です。駅から徒歩15分あまり。正直に言えば、こんなところにおしゃれなフラワーショップがあるとはちょっと想像しにくい場所に、「C'est la vie.(セラヴィ)」はありました。ともすれば、周りの枝葉に隠れてしまいそうな看板に、その店名を見つけて、「あ、ここで間違いないな」と確認しつつ奥へ。明るい女性たちの声が聞こえてきて、なんだか楽しそうだなと思いつつ、ビニールハウスの中に足を踏み入れるなり、元気に私を迎えてくれたのがC'est la vie.のオーナー・宮﨑慎子(みやざきのりこ)さんです。
自分がお店を持つなんて…
大手のフラワーショップでの店長業務を経て、花の勉強のため渡仏。足かけ1年ほど滞在の後に、祖母の病気をきっかけに看病のため帰国。フラワーデザインなどを手がけていたときに、縁あってこの場所で店を開かないかと誘われて、C'est la vie.をオープンしたのは2007年頃だったと言います。
「花が好きだから、フラワーショップで働いていたんですが、花をモノとして扱わなければいけないことに抵抗感がありました。仕事だから、もちろん仕方がないことはわかります。ですがそういう事を受け入れられない自分がいまして、何か花に対する姿勢をフラットにしたくフランスへ行きました。その時は自分がお店を開くなんて想像もしてませんでした」(宮崎さん)。
「花が好きだから、フラワーショップで働いていたんですが、花をモノとして扱わなければいけないことに抵抗感がありました。仕事だから、もちろん仕方がないことはわかります。ですがそういう事を受け入れられない自分がいまして、何か花に対する姿勢をフラットにしたくフランスへ行きました。その時は自分がお店を開くなんて想像もしてませんでした」(宮崎さん)。
お客様が、また次も来たいと思ってくれるお店を目指して
フランスから帰国後の仕事は、机の上でプランツデザインを描くこと。現場で身体を動かし直接植物に触れていた自分にはそれも徐々に苦しくなり、無理が生じ始めました。そんな中、突然宮崎さんに店をやったら?と勧めたのは、近所のバラ園のオーナー夫妻。園を閉めることになったので、その跡地を再びお花のために使わないかということだったのだそう。とは言え、そのビニールハウスの前は、近隣の学校の生徒や散歩をする方々ぐらいで、ほとんど人通りはなかったのです。
「誰かが何かを買おうと思ってくるような場所ではありませんでした。オーナーは、人が来なければネットもあるんだし…と言ってくれましたけれども、私は花を買ってくれる人の顔が見えないことにも違和感がありました。ここで待っていて、みえるお客様がいらっしゃったら、また次も来たいと思ってくれる店にしよう。そういう思いではじめて、9年がたちました」(宮崎さん)。
「誰かが何かを買おうと思ってくるような場所ではありませんでした。オーナーは、人が来なければネットもあるんだし…と言ってくれましたけれども、私は花を買ってくれる人の顔が見えないことにも違和感がありました。ここで待っていて、みえるお客様がいらっしゃったら、また次も来たいと思ってくれる店にしよう。そういう思いではじめて、9年がたちました」(宮崎さん)。
植物が好きなように、伸び伸びと育つ環境で
C'est la vie.は、切り花がバケツに入れられて買われるのを待っているという、いわゆる花屋のイメージからはほど遠いのです。私が行ったときは、さまざまな秋の植物の苗の中に混じって、おすすめのヴィオラの株が、木箱に入って色合い良く並べられ、横の方にひっそりと値段の札が置いてあるというぐらい。一見、どれが売り物なのかわからなくなってしまいます。
「それが理想なんです。整然とした苗よりも、植物自身がもつ本来の自由な動きのある花苗販売を目指しています。お客様もそれをわかって下さり、店の中を何度も何度も周りながら、これはどう育てたらいいの?と質問され、新たな植物との出逢いをもとめ長居される方も多いです。そしてそれはとても嬉しい事です。植物は生き物ですから、丁寧に植物と向き合われているお客様の姿勢に私達スタッフ側も背筋がのびる想いで販売させて頂いております。」(宮崎さん)。
「それが理想なんです。整然とした苗よりも、植物自身がもつ本来の自由な動きのある花苗販売を目指しています。お客様もそれをわかって下さり、店の中を何度も何度も周りながら、これはどう育てたらいいの?と質問され、新たな植物との出逢いをもとめ長居される方も多いです。そしてそれはとても嬉しい事です。植物は生き物ですから、丁寧に植物と向き合われているお客様の姿勢に私達スタッフ側も背筋がのびる想いで販売させて頂いております。」(宮崎さん)。
花に水をやっていると自分がリセットされる
現在宮崎さんは、C'est la vie.の営業とフラワーレッスンを月に3日ずつ行い、その他の日は依頼されるガーデンデザイン、花の生け込み、空間プロデュース。そして店の内外にある花の手入れや生産という3つの軸で動いているのだそう。
「体は大変ですけれど、自然の軸に従って動いているという感じがします。ここにいる子たちが、水や太陽の光だけで健気に静かに生きている姿を見ると、自分の気持ちもリセットされます」(宮崎さん)。
それは、たぶん、ここを訪れるお客様にとっても同じことが言えるのではないでしょうか。私がうかがったとき、ちょうど花束を作って欲しいとおっしゃって来られたお客様がいました。えっ、花束?と思いちょっと見回したところ、花束になるような花材は見当たらなかったのですが、宮崎さんは「ちょっとお時間をください」と言って店の外へ。10分ほどで何とも素敵な花束のできあがりです。これが、そのお客様の家でどんな風に呼吸をし、どんな風に見る人の心を楽しませるのか、想像しただけで楽しい気分になりました。そんな幸せな花との出会いをしたい方は、是非一度C'est la vie.を訪れてみてはいかがですか?
「体は大変ですけれど、自然の軸に従って動いているという感じがします。ここにいる子たちが、水や太陽の光だけで健気に静かに生きている姿を見ると、自分の気持ちもリセットされます」(宮崎さん)。
それは、たぶん、ここを訪れるお客様にとっても同じことが言えるのではないでしょうか。私がうかがったとき、ちょうど花束を作って欲しいとおっしゃって来られたお客様がいました。えっ、花束?と思いちょっと見回したところ、花束になるような花材は見当たらなかったのですが、宮崎さんは「ちょっとお時間をください」と言って店の外へ。10分ほどで何とも素敵な花束のできあがりです。これが、そのお客様の家でどんな風に呼吸をし、どんな風に見る人の心を楽しませるのか、想像しただけで楽しい気分になりました。そんな幸せな花との出会いをしたい方は、是非一度C'est la vie.を訪れてみてはいかがですか?
photo / reeeko
C'est la vie.
千葉県船橋市飯山満町 2-691-10
営業日:第2週週末(金・土・日)
営業時間:10:00~17:00
東葉高速線飯山満駅より徒歩15分
※掲載内容は記事公開時点のものです。最新情報は、各企業・店舗等へお問い合わせください。
内容について運営スタッフに連絡