この夏、心を旅させてくれる物語。本好きが本気でおすすめ!暑さを忘れさせる本7冊
外に出るのがためらわれるほどの暑さなら、いっそ涼しい部屋にこもって本の世界へ出かけてみませんか。今回は、3人の読書インフルエンサーが夏のシチュエーション別に選んだ本を紹介します。同じテーマでも、選ぶ視点は三者三様。冷えた麦茶とおやつを傍らに、読書時間へ。
- 2026.8.22
- アート・カルチャー
選書してくれたのは読書インフルエンサーの3名
この夏におすすめしたい本をシーン別で選んでくださったのは、SNSで読書記録を発信されている、こちらの3人です。
あい | 本まみれ生活 さん
出版社勤務の本マニア。ファンタジックな児童文学からミステリ、純文学に至るまで読書記録を発信する。魅力は飾らない言葉運び。コメント欄は共感や感想が飛び交い、さながらコミュニティのような賑わいを魅せています。不定期で行っているポッドキャストでも、あいさんの明るい人柄がわかると好評です。
碧い花 さん
2019年から、ロルバーンのノートに手書きで読書記録をつづり、SNSに投稿しています。「かっこつけた文章を書かない」、「義務化しない」をモットーに、のんびりと発信しているそう。ノートは8冊を超え、記録した本の数はおよそ550冊。デジタル全盛の時代にあえて手書きで記録を残す姿に憧れ、参考にする人も少なくありません。
梨ちゃん 文学系YouTuber さん
「梨ちゃんねる」としてYouTubeとInstagramで本の紹介を発信。純文学や文芸誌など、難解に思われがちな作品も、自身が感じた驚きやときめきを等身大の言葉で丁寧にすくい取ります。端的で分かりやすい説明と、実感のこもった感想に惹かれ、実際に本を手に取る人が続出。
「今年の夏、涼をとるために読みたい本は?」
あいさん選 『猿』
「百鬼夜行シリーズ」で知られる京極夏彦さんの長編小説。同居人が「猿がいる」と言い出したことをきっかけに、主人公は微かな気配や不安を感じ始めます。そんな中、曾祖母の遺産相続のために訪れた岡山県の限界集落では、判然としない違和感が広がっていき……。
「何も出て来ないのに、不意にゾワっと怖くなる……そんな描写がリアルで、部屋で一人で読むのが怖くなってしまいました。怖い! 怖い! 怖い! でもこの怖さの正体はなんなの? と『怖さ』について向き合った一冊です」(あいさん)
『猿』(KADOKAWA) 著:京極夏彦
「何も出て来ないのに、不意にゾワっと怖くなる……そんな描写がリアルで、部屋で一人で読むのが怖くなってしまいました。怖い! 怖い! 怖い! でもこの怖さの正体はなんなの? と『怖さ』について向き合った一冊です」(あいさん)
『猿』(KADOKAWA) 著:京極夏彦
碧い花さん選 『夏と花火と私の死体』
映画監督としても活躍する乙一さんのデビュー作。16歳という若さで書き上げた本作は、第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しました。9歳の少女が殺され、死体となった視点から物語が進むという異色の設定で、透明感のある文体と残酷な出来事が同居するホラーミステリです。
「幼く無邪気な兄妹によって殺された“私”の死体を隠すための、悪夢のような四日間の物語。どこに隠す? 次はどうする? と、まるでゲームをしているかのように死体を運び隠す兄妹の罪の意識の無さに、ゾクゾクと寒気を覚えます……! 私は夏になると胸糞わる〜い本を読みたくなるのですが、涼むためにみなさんもいかがですか?」(碧い花さん)
『夏と花火と私の死体』(集英社) 著:乙一
「幼く無邪気な兄妹によって殺された“私”の死体を隠すための、悪夢のような四日間の物語。どこに隠す? 次はどうする? と、まるでゲームをしているかのように死体を運び隠す兄妹の罪の意識の無さに、ゾクゾクと寒気を覚えます……! 私は夏になると胸糞わる〜い本を読みたくなるのですが、涼むためにみなさんもいかがですか?」(碧い花さん)
『夏と花火と私の死体』(集英社) 著:乙一
梨ちゃんさん選 『深夜百太郎』
2001年、『煙か土か食い物』(講談社)でメフィスト賞を受賞し、作家デビューを果たした舞城王太郎さん。この本は、2015年の夏、舞城さんがSNS上で100日にわたって毎晩投稿していた100の怪奇小説を1冊にまとめた完全版です。奇数話は東京の調布市を舞台に、偶数話は福井県の架空の町が舞台になっていることが大きな特徴。方言で描かれる怪談は新鮮な恐怖をもたらします。
「奇妙な設定と、切れ味のある文章、不意に差し込まれるユーモアにだんだんと舞城ワールドへ引き込まれていきます! 毎話、書き出しと最後の一文に唸らされるんです。夏の夜、さまざまなゾクリ……を味わってみてください」(梨ちゃんさん)
『深夜百太郎』(ナナロク社) 著:舞城王太郎
「奇妙な設定と、切れ味のある文章、不意に差し込まれるユーモアにだんだんと舞城ワールドへ引き込まれていきます! 毎話、書き出しと最後の一文に唸らされるんです。夏の夜、さまざまなゾクリ……を味わってみてください」(梨ちゃんさん)
『深夜百太郎』(ナナロク社) 著:舞城王太郎
「夏旅に持って行きたい一冊は?」
あいさん選 『声の網』
ショートショートの神様と呼ばれる星新一さんですが、本作は全体を通してひとつの長編を構成する連作短編集です。舞台となっているのは、電話がなんでもしてくれる時代。「メロン・マンション」に住む、各階の住人が順番に主人公となり、そこで起こる奇妙な事件や人間模様が描かれています。
「夏の旅行はできる限り身軽で行きたい! そこで基本は旅に全力で、移動や寝る前のほんの少しの時間で読める作品を選んでみました。一つひとつは短いけど、全編通して繋がっている、ちょっと不思議な作品。50年前に描かれたはずなのに『この人、未来予知したんじゃない……!?』と驚かされるのは、流石の星新一さんです」(あいさん)
『声の網』(KADOKAWA) 著:星新一
「夏の旅行はできる限り身軽で行きたい! そこで基本は旅に全力で、移動や寝る前のほんの少しの時間で読める作品を選んでみました。一つひとつは短いけど、全編通して繋がっている、ちょっと不思議な作品。50年前に描かれたはずなのに『この人、未来予知したんじゃない……!?』と驚かされるのは、流石の星新一さんです」(あいさん)
『声の網』(KADOKAWA) 著:星新一
梨ちゃんさん選 『パパイヤ・ママイヤ』
著者の乗代雄介さんは2015年、『十七八より』(講談社)で第58回群像新人文学賞を受賞し、作家デビュー。2022年に出版された本作は、親が嫌いな17歳の少女たちの儚くも輝かしいひと夏を描いた物語です。緻密な風景描写とともに描かれる少女たちの心の機微に、思わず引き込まれます。
「旅の醍醐味のひとつに、その場所に身を置いてはじめて生まれる感情との出会いがあると思います。本作は干潟で毎週会う少女ふたりが、少しずつ心を通わせていく夏の物語。風や潮の匂い、生き物たちの気配まで感じられる風景描写からは、この物語が干潟でなければ生まれなかったことが伝わってきます。旅の途中でこの本を読めば、その土地が自分の中に何を生み出すのか、立ち止まって確かめたくなるはず」(梨ちゃんさん)
『パパイヤ・ママイヤ』(小学館) 著:乗代雄介
「旅の醍醐味のひとつに、その場所に身を置いてはじめて生まれる感情との出会いがあると思います。本作は干潟で毎週会う少女ふたりが、少しずつ心を通わせていく夏の物語。風や潮の匂い、生き物たちの気配まで感じられる風景描写からは、この物語が干潟でなければ生まれなかったことが伝わってきます。旅の途中でこの本を読めば、その土地が自分の中に何を生み出すのか、立ち止まって確かめたくなるはず」(梨ちゃんさん)
『パパイヤ・ママイヤ』(小学館) 著:乗代雄介
「食欲がない夏でも、食べることが楽しくなる一冊は?」
あいさん選 『宙ごはん』
著者は2021年、『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞した町田そのこさん。「宙ごはん」では、主人公の宙が小学生〜高校生になるまでを描いた成長物語です。主人公には生みの親である「お母さん」、育ての親である「ママ」のふたりの母がいます。しかし、ママが海外へ渡ることをきっかけに、お母さんである花野とふたりきりで暮らすことに。自由奔放な花野に不安を募らせる宙の心を温めたのは、彼女の後輩・佐伯のつくる料理で……。
「食事に無頓着な私でも、出てくるすべての料理を真似して、食べたくなる小説でした。いろんな感情に振り回される主人公と、必ず出てくる料理の描写。読んでいると、お腹が減ります。かわいい表紙ですが、なかなかヘビーなお話でもあるので、胃もたれなどはされませんように」(あいさん)
『宙ごはん』(小学館) 著:町田そのこ
「食事に無頓着な私でも、出てくるすべての料理を真似して、食べたくなる小説でした。いろんな感情に振り回される主人公と、必ず出てくる料理の描写。読んでいると、お腹が減ります。かわいい表紙ですが、なかなかヘビーなお話でもあるので、胃もたれなどはされませんように」(あいさん)
『宙ごはん』(小学館) 著:町田そのこ
碧い花さん選 『キッチン常夜灯』
路地裏にひっそりと佇むビストロ・キッチン常夜灯を舞台に、長月天音さんが描く連作短編集です。チェーン系レストランの店長を務める主人公にとって、この店は素の自分に戻れる大切な場所。シェフがつくる料理が、疲れた心をほぐし、明日の元気を与えてくれます。ファンの多い人気シリーズの、記念すべき第一作目です。
「仕事や将来の不安から不眠症に悩む主人公が、深夜に営業しているキッチン常夜灯を見つけ、シェフや常連さんとの温かい交流や愛のこもった食事を通して、生きる希望を見出していく物語。まさに、腹が減っては戦ができぬ! と思わせてくれる、前向きになれる一冊です」(碧い花さん)
『キッチン常夜灯』(KADOKAWA) 著:長月天音
「仕事や将来の不安から不眠症に悩む主人公が、深夜に営業しているキッチン常夜灯を見つけ、シェフや常連さんとの温かい交流や愛のこもった食事を通して、生きる希望を見出していく物語。まさに、腹が減っては戦ができぬ! と思わせてくれる、前向きになれる一冊です」(碧い花さん)
『キッチン常夜灯』(KADOKAWA) 著:長月天音
夏のお部屋時間は読書を楽しみましょう
3人が選んでくれた7冊は、どれも違う角度から「夏」を照らし出してくれる物語ばかり。気になる一冊が見つかったら、ぜひ手に取ってみてください。うだるような暑さも、ページをめくる間だけは、少し忘れられるかもしれません。
この企画、まだまだ続きます。どんなテーマで、どんな本に出会えるのか、楽しみに待っていてください。
この企画、まだまだ続きます。どんなテーマで、どんな本に出会えるのか、楽しみに待っていてください。
あい | 本まみれ生活 @_ai_honmamire
碧い花 @aoihana___
梨ちゃん 文学系YouTuber @nashichan_book
※掲載内容は記事公開時点のものです。最新情報は、各企業・店舗等へお問い合わせください。
内容について運営スタッフに連絡