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猫が教えてくれること「命の終い方」/ガラス作家・松本裕子さんの場合vol.2

猫の猫らしい行動に、自分の生き方を重ねてハッとする瞬間があります。ガラス作家の松本裕子さんもその一人。今は亡き「風太」と「粉雪(こゆき)」から学んだのは、命の終い方でした。寒い季節に温かい所ではなく、寒い所を求めて横たわる風太。その意外な理由とは?

猫が教えてくれること「命の終い方」/ガラス作家・松本裕子さんの場合vol.2

いつまでも一緒にいたいから

ガラス作家・松本裕子さんの愛猫2

カメラマンがどうして欲しいのか、まるでわかっているかのようにフレームに収まり、次々とポーズを変え、立派にモデルを務めてくれたのは「雨」(推定5歳・オス)です。
「雨はうまくできると思うんですけど、私はどうだか…」と、取材を引き受けてくださったのは、雨の飼い主でガラス作家の松本裕子さん。松本さんは自宅の一室のアトリエで、ガラスのアクセサリーを作製しています。

ガラス作家・松本裕子さんの作品

2018年にクラフト雑貨店・もりのことで行われた企画展「君と暮らせば〜ちいさないきものと日々のこと〜」に松本さんが出品したのが、この容器です。(現在は販売していません)

「台座は木工作家のサノアイさんにお願いしました。ガラスは中が空洞になっていて、購入した方が好きなものを入れられます。私は、雨が来る4ヵ月前に亡くなった猫の『風太』(オス)の毛を入れて、遺影と一緒に飾っています。中に閉じ込めてもガラスなら明るいし、外の景色も見られるような気がして。コロンとした卵のような形も悲しくないでしょ?」

経験してみないとわからないことばかり

ガラス作家・松本裕子さんの愛猫3

松本さんが初めて飼った猫・風太は17歳で、後から来た「粉雪(こゆき)」(メス)は風太よりも早く10歳で亡くなりました。懸命な治療が病気の進行に追いつかなかった結果でした。

「風ちゃんは気性が荒く、雪ちゃんは人見知りでした。そして、今日もご機嫌な雨ちゃん。当たり前のことですけど、一匹いっぴきまるで違うんですよね。

猫を飼うまでは、動物を飼っている人の気持ちがわからなくて。高校の時に友だちが愛犬を亡くして、本当に落ち込んでいたんです。でも、どこかで『そんなに?』と思っていました。今だったら親身になって話を聞けたのにと後悔しているんです。動物のことだけでなく、いろんなことに関してそうなのかも。経験してみないと、その深さがわからないことばかり」

猫は全部わかってる

ガラス作家・松本裕子さんの愛猫4

松本さんが風太と粉雪から教わったのは「命の終い方」だと言います。

「猫って全部わかってますよね。自分の命があとどれくらいで尽きるのかわかっていて、そこに向けての準備も淡々とするんです。

風ちゃんはまだ肌寒い春先に亡くなったんですけど、寒い所、寒い所に体を横たえるんです。窓のすき間や居間の敷居など冷気が吹き込む場所に。『そんな寒い所にいたら、体温も下がるしダメだよ』って温かい場所に移動させたり、腹巻にカイロを入れたりして温めようとすると、最後の力を振り絞るようにして抵抗しました」

ガラス作家・松本裕子さんの愛猫5

「今思えば、少しでも楽に逝けるように、自ら体を冷やすことで、体の機能を少しずつ低下させていたのかも。雪ちゃんも最後の方は酸素マスクが必要でしたが、自分の意思で何度も振り払いました。死に抵抗しようとするのは、私たち人間だけかもしれません」

命の終い方に、正解も不正解もありません。ただ、動物の命の終い方に、学ぶことが多いのは事実です。さて、次回は、雨ちゃんの意外な特技についてのお話です。お楽しみに!

photo / 筒井聖子

この記事を書いた人

宇佐見明日香 編集者・ライター。女性の「生き方」「暮らし方」などライフスタイルにまつわるインタビューを中心に、企業人や起業家のインタビューを得意とする。“しつもんは愛だ”を...

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